先日ぼくが教えている生徒から、とある質問をされました。
その生徒は邦楽や洋楽をピアノ弾き語りでカバーしてライブをしているのですが、自分のピアノ伴奏が平坦でつまらないといいます。
なぜピアノ伴奏が平坦になってしまうのか。
それは「ダイナミクス」が表現できていないからなんです。
ダイナミクスとは
「ダイナミクス」とは音楽的な強弱のことです。
みなさんが普段聴いている音楽は大体4分~6分ほどの長さがあると思いますが、曲が始まってから終わるまでに実はさまざまな仕掛けが施されています。
楽曲を聴いているとサビに向かって盛り上がっていったり、最後のサビの前に静かな部分があったりしませんか?
- 楽曲を魅力的に表現するため
- 共演するボーカリストに最高のパフォーマンスをしてもらうため
- リスナーを楽曲の最後まで惹きつけるため
には、ダイナミクスのコントロールは必要不可欠なんです。
ダイナミクスの表現方法
楽曲に強弱をつけるための方法で、まず思い浮かぶのは音量(ボリューム)ではないでしょうか?
ダイナミクスを少し意識したことがある人なら、もうすでに実践しているかもしれませんね。
でも実はダイナミクスを表現する方法はあと2つあって、音高(演奏するポジション)と音価(音符の長さ)と呼ばれています。
音量・音高・音価の3つを意識することが、平坦な伴奏から脱却するカギになるんです。
音量(ボリューム)
最も手軽にダイナミクスを表現する方法が音量(ボリューム)のコントロールです。
オーソドックスなJ-POPならAメロで小音量、Bメロで中音量、サビで大音量のような感じで弾き分ける場合が多いですね。
まずは大・中・小に音量をコントロールできるようになりましょう。
小音量や大音量を維持するのは意外と難しく、弾きやすい中音量に寄っていこうとするので注意が必要です。
また小音量では音量のコントロールが難しく、正確なタッチが求められます。
大・中・小のあいだにも無限に音量の段階があるので、クレッシェンドやデクレッシェンドを滑らかに行えるよう練習しましょう。
音高(演奏するポジション)
次は演奏するポジションについてです。
ここで言うポジションとはコードのボイシング(どの順番で押さえるか)のことではなく、演奏する高さのことです。
上記の3パターンのポジションでコードを押さえた時、ボリュームが同じであればポジションが高い方が繊細に聴こえ、ポジションが低ければ音圧を感じますよね。
また音高もボリュームと同じく滑らかなポジションの移動が大切なので、転回形を使いこなして無駄のないコードチェンジを身につけましょう。
音価(音符の長さ)
最後は音の長さを表す音価です。
まずは下記の楽譜をご覧ください。
4分音符の演奏を基準にして音価の長い2分音符の演奏と、音価の短い8分音符と16分音符を混ぜた演奏になっています。
下記に音源もあるので聴いてみてください。
それぞれの演奏を比べると音価が長い方がしっとりとした雰囲気に、短い方が疾走感のあるアプローチになっていると思います。
音価によるアプローチは音量や音高との組み合わせによってさまざまな場面に使用可能なので、演奏するパートに合わせて音価を使いこなしましょう。
急激なダイナミクスの変化
音量と音高では滑らかにダイナミクスを変化させることで、演奏を表情豊かにすることができると述べました。
しかし場面によっては、わざとダイナミクスを急激に変化させた方が効果的な場合もあるんです。
例えば大音量から急激に小音量になると、リスナーは聴こえにくくなった音に集中して音楽に惹きつけられます。
動画のaikoさんの『カブトムシ』では、サビのラストで急激に音量を落としたアレンジになっていますよね。
落ち着いたハイポジションでの演奏からローポジションでの演奏に急激に変化すると、音圧の違いにギャップを感じリスナーの心を動かします。
動画の楽曲はMrs. GREEN APPLEの『点描の唄』ですが、2番のサビへと向かう流れがドラマチックですよね。
このように急激なダイナミクスのコントロールは楽曲をドラマチックに演出し、リスナーの心を掴むテクニックのひとつなんです。
まとめ
伴奏者はボーカリストが表現したい世界観を感じ取り、自由に歌えるよう後方からサポートしなければなりません。
しかし時には一歩先を読み、ボーカリストが向かいたい方向に道標を示すように先回りした伴奏をすることも必要です。
それを可能にするのがダイナミクスのコントロールなんですよね。
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