Hammond SK-1 73のレビュー

2020年4月

2013年に購入してから、かれこれ7年間演奏活動のメインキーボードであるHammond SK-1 73。
プロのミュージシャンが感じるHammond SK-1 73の良さを紹介します!

ハモンド社が2011年に発売したSK-1 73はSKシリーズの73鍵仕様のハモンドオルガンです。

機能面からみても赤いボディで有名なnord erectroシリーズに対抗して作られているようです。

Hammond SK-1 73の音色

・ハモンドオルガン

メインとなる音色ですね。泣く子も黙る純正ハモンドの音です。
音源はVASEⅢで、2004年発売のXK-3から続く素晴らしい音源です。

最新の音源はXK-5のMTW Ⅰですが、VASEⅢもハモンドの音を支えた素晴らしい音源です。

ただしVASEⅢの中なら真空管を搭載しているXK-3cの方が弾いていて気持ちよくはありましたが、SK-1 73もハモンド音色を楽しむには十分のレベルです。

・アコースティックピアノ

アコースティックピアノは、

  • Stereo Grand
  • Bright Stereo Grand
  • Mono Grand
  • Bright Mono Grand

の4種類が基本で、比較的硬い音なのでバンドの中でも抜けて聞こえます。
ピアノ独奏でもある程度は耐えられるでしょう。

入っていて嬉しい音色でいうと、

  • Uplight Pf
  • Honky Tonk
  • Stereo GP Pad 3

ですね。
アップライトピアノとホンキートンク(調律の狂った状態のピアノ)は案外ポップスなどで使用するのでありがたいです。
Stereo GP Pad 3はストリングスとのレイヤー音色ですね。

あと何故かピアノの項目にElectric Grandが含まれてました。
いわゆるYAMAHAのCP70のサンプリング音源でしょう。

Hammond SK-1 73はオルガン音色がメインの楽器なので鍵盤がウォーターフォール鍵盤です。
弾き心地やタッチを気にする方にはちょっと向かないかもしれませんが、少し経てばそれも慣れるのでバンドなどで使用する分には十分かと思います。

・エレクトリックピアノ

まずはRHODESから見てみましょう。

  • E. Piano Rd1
  • E. Piano Rd2

の2種類が基本音色です。おそらくMarkⅠとMarkⅡでしょうか。
プリセットとしてこの2音色にエフェクトがかかったものが入っています。

  • Auto Pan
  • Phaser
  • Over Drive

フェイザーはPhase90の揺らぎに近いですかね。
Small Stoneとは少し違うのでリチャード・ティーには残念ながらなれないです。

もちろん他のエフェクトも入っているので自分で好みのエフェクトをかけることも可能です。

ステージキーボードとしてNORDのRHODESの音は最高ですが、Hammond SK-1 73も善戦していると思います。

photo by David Cohen

次はWURLITZERです。

  • E. Piano Wur
  • EPiano Wur Mellow
  • EP Wur OD

の3音色です。
ウーリッツァーは結構リアルな音だと思います、トレモロをかけると気持ちよいですね。

photo by Marc Wathieu

続いてはFM音源のエレピです。

  • E. Piano FM
  • EP FM Chorus
  • EP FM Belly

の3音色ですね。
キラキラした音が特徴のYAMAHA DX7の音です。

エレクトリックピアノは全体的によく出来ていると思います。

photo by deepsonic

・クラビネット

本物のクラビットは2つのハムバッカーピックアップの組み合わせにより音色が決まりますが、Hammond SK-1 73にはすべてのパターンの音色が搭載されています。

  • Clav. AC
  • Clav. AD
  • Clav. BC
  • Clav. BD

さらにタッチワウをかけた「Wah」と、ペダルワウの「Cry」があります。
「Cry」はおそらくワウペダルの「Cry Baby」のことでしょう。

変わり種としてはハプシコード(チェンバロ)やアコーディオンの音色も豊富に入っています。

このようにいわゆるボトムの役割としての音色はとても充実していて大満足です。

・その他の音色

その他のシンセサイザーに搭載されているような音色は残念ながらいまいちなものが多かったです。

ビブラフォンやグロッケンはまあまあで、ストリングスは種類もあり使えます。
ブラス音色も少しチープではありますが、何とか最低限はという感じです。

シンセ音色はもう一つ痒いところに手が届かない感じで、一番よく使いそうなソフトリードの音色が無いのとピッチベンドが無いのが致命的ですね。

とは言っても元々オルガンだしピアノ系がここまで充実しているので、そこまで求めるのはあまりにも酷だとは思いますが。

その他情報

現在も鈴木楽器の公式ページでは音色ライブラリのアップデートは続いているので、まだまだ使える音色は増えていると思います。

持ち運び用のソフトケースは背負えるようになっているので、本体重量9.3kgと少し重たいですが背負って持ち運びも可能です。

純正ではないですがnord Stage&Erectro 73のソストケースにも少しコツがいりますがギリギリ入ります。
純正のケースのショルダーのバックルがプラスチックなので割れてしまい、5年ほどnordのケースを使っています。
中の衝撃吸収材もこちらの方がしっかりしていて安心できます。

まとめ

少し厳しいことも書きましたが、私は7年もメインキーボードにしているくらい本当に買ってよかったと思える楽器です。

古い機種の情報ですが、もし誰かのお役に立てれば幸いです!