キーボーディストはバンドの「何でも屋」としてさまざまな音色を演奏することを求められます。
特にJポップではたくさんの音色が使用されていることも多いので、再現するのは一苦労なんですよね。
カバーバンドで活動するキーボーディストの皆さんは、お持ちのシンセサイザーから必要な音色を選べなくて困っていませんか?
この記事ではキーボーディストが知っておくべきシンセサイザーの音色をご紹介したいと思います。
もくじ
鍵盤楽器
- アコースティック・ピアノ
- エレクトリック・ピアノ
- ハモンドオルガン
- パイプオルガン
- クラヴィネット
キーボーディストが伴奏する場合のメイン音色が鍵盤楽器です。
特徴などについては過去のこちらの記事で紹介しているので、今回は省略します。
弦楽器(ストリングス)
バンド界隈で弦楽器といえばギターやベースのことですが、ここで言う弦楽器はヴァイオリンやチェロのようなストリングス(Strings)のことです。
ストリングスの演奏形態は大きく分けて、
- ソロ
- セクション
の2つのカテゴリに分けられます。
求められている演奏形態の音色を探し出せるように、2つのサウンドを理解しておきましょう。
ソロ
ソロとは1人で演奏している状態の音色です。
キーボードにはヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスのように各楽器の名前で登録されているはずです。
再現したい演奏が奏者1人によるソロ演奏であればここから選びましょう。
とくに美しい高音でメロディを演奏するヴァイオリンやふくよかな低音が魅力的なチェロは、ポップスの楽曲に登場する可能性が高いので聴き分けられるようになりましょう。
中島みゆきさんの『地上の星』の間奏では、ヴァイオリンのソロ演奏によるメロディが演奏されています。
セクション
セクションとは例えば、ヴァイオリン4名、ヴィオラ2名、チェロ2名、コントラバス1名のように、複数の楽器で演奏されるアンサンブルのことです。
音楽番組などで10人から40人ほどのストリングス隊を見たことがありませんか?
キーボードには「◯◯◯Strings」のような名前で登録されていることが多いです。
ハーモニーを奏でたり、分厚くメロディを演奏したりする場合はこの音色を選びましょう。
Superfly 『愛をこめて花束を』ではイントロのメロディをはじめとして、いたるところでストリングス・セクションのサウンドを聴くことができます。
管楽器(ブラス&ウッド)
トランペットやサックス、フルートのような管楽器は、大きく分けて金管楽器であるブラス(Brass)と木管楽器であるウッド(Wood)に分かれています。
管楽器は楽器自体の種類が多いので、ポップスなどでよく耳にするものをご紹介しておきます。
楽器の種類
ブラス(Brass)
- トランペット
- トロンボーン
- ホルン など
ウッド(Wood)
- サックス(ソプラノ・アルト・テナー)
※バリトンもありますがキーボードで演奏する機会はほぼありません - フルート
- オーボエ など
各楽器の音色を実際に聴いてそれぞれの良さや特徴を確認しておきましょう。
キーボードの音色に話を戻すと、YAMAHA・ROLAND・KORGなどメーカーごとに管楽器の音色を収納しているカテゴリーネームが異なります。
例えばROLANDのJUNOでは金管・木管で分かれておらずすべてがBrassに収納されていますし、KORGのKRONOSでは木管楽器はReedに含まれます。
YAMAHAのMOTIFやMONTAGEはそのままBrassとWoodwindとなっていますね。
そして管楽器の演奏形態もストリングスと同じく、
- ソロ
- セクション
となっています。
ソロ
1人で演奏している状態の音色で、各楽器の名前で登録されています。
サックス、フルート、トランペットなどは、特にポップスの楽曲に登場する可能性が高いので聴き分けられるようになりましょう。
EGO-WRAPPIN’が歌う『色彩のブルース』のイントロでは、アルト・サックスが哀愁漂うメロディを聴かせています。
セクション
セクションとはストリングスと同じく、トランペット、アルト・サックス、テナー・サックス、トロンボーンなど複数の楽器で演奏されるアンサンブルのことです。
迫力のあるメロディやアクセントは大体ブラス・セクションによって演奏されています。
キーボードには「◯◯◯Brass」や「◯◯◯Ensemble」のような名前で登録されていることが多いです。
山下達郎さんの『Sparkle』は迫力あるブラス・セクションがカッコイイんですよね。
クロマチック・パーカッション(鍵盤打楽器&ベル)
ポップスの楽曲で意外と大活躍なのがクロマチック・パーカッションです。
打楽器でありながら音程が表現できるので鉄琴であるグロッケンやヴィブラフォン、木琴であるマリンバなどは鍵盤打楽器と呼ばれます。
そしてベルはキラッとした音色が特徴で、鐘の音やハンドベル、のど自慢大会でもおなじみのコンサート・チャイムズなどもよく使用される音色の一つです。
ベル系の音色はそのままBell、鍵盤打楽器は演奏するときに使用する道具にちなんでMalletというカテゴリに収納されていることもあります。
星野源さんの『アイデア』のイントロで、ストリングスとともにメロディを奏でているのがマリンバです。
シンセ音
電気によって生み出された音を加工して作り出されるのが、シンセサイザー特有の音色であるシンセ音です。
音作りのスタート地点であるオシレータには、
- Sine Wave(サイン波)
- Sawtooth Wave(ノコギリ派)
- Square Wave(矩形波)
などがあります。
これらの名前はシンセサイザーのプリセット音色名にも使用されているので、サウンドとともに覚えておくといいでしょう。
シンセサイザーで作り出される音には、
- シンセリード
- プラック
- パッド
などの種類がありますが、紹介しだすときりがないのでこの記事では簡単に音色を紹介する程度にとどめておくことにします。
シンセリード
リードとは同時には1音しか鳴らせないモノフォニックの音色で、主にメロディを演奏するために使用されます。
先述したオシレーターの名前が使われているものも多く、「Sine Lead」や「Saw Lead」など名前を見れば音色の想像ができるものもあります。
またデジタルシンセサイザーではオシレーターの設定をモノフォニックから複数音演奏可能なポリフォニックに変更することもできるので、和音での演奏も可能になります。
YEN TOWN BANDの『Swallowtail Butterfly』のイントロではSine Leadが使用されています。
プラック
プラックはポリフォニックで演奏ができ、音が減衰していくという特徴があります。
コードを演奏したりメロディを奏でたり、とても使いやすい音色です。
エド・シーランさんの『Shape of You』では全編に渡って使用されています。
パッド
とても柔らかい音色で、主にコードを演奏してサウンドに広がりや暖かみを加えてくれます。
アメリカのロックバンドであるボン・ジョビの代表曲のひとつ、『Livin’ On A Prayer』のイントロはシンセパッドのフェードインから曲がスタートしています。
その他の音色
シンセブラス
ブラス・セクションのような迫力のある音色に仕上げられたのがシンセブラスです。
生のブラス・セクションとはまた違った魅力があります。
楽器の機種やメーカーによって収録されているカテゴリーが違っていることが多く、だいたいは管楽器系のブラスかシンセに分類されています。
ぜひご自身の楽器の場合はどうか確認してみてください
代表曲としてはシンセブラスによるイントロが有名なヴァン・ヘイレンの『Jump』を紹介しておきましょう。
オーケストラル・ヒット(Orchestral Hit)
登場回数は少ないですが、一部の楽曲で大きな存在感を放っている音色がオーケストラル・ヒットです。
「ギンッ」という迫力のある音色はとても印象的です。
世界で活躍するアーティスト、ブルーノ・マーズさんの『Finesse』のサビでは1小節ごとにオーケストラル・ヒットが鳴り響いています。
シンセベース
シンセサイザーでベースラインを演奏するための音色です。
より攻撃的な野太い音色にも加工することができるので、楽器としてのベースとはまた違った魅力があります。
マイケル・ジャクソンさんの『Thriller』の印象的なベースラインはシンセベースによるものです。
まとめ
シンセサイザーには使いきれない程の音色が収録されていますが、中でもポップスによく使用される音色を6種類ご紹介しました。
ポップスのカバーをするならどんな種類の音色なのか聴き分けられるようにしておくこと。
それとご自身の楽器をしっかりと知り、必要な時に必要な音色を探し出せるようにしておきましょう!