イギリス・ロンドンで結成されたアシッドジャズバンドであるインコグニート。
その3枚目のアルバム「Tribes, Vibes And Scribes」より「Don’t You Worry Bout A Thing」のピアノをコピーしたので、解説をしながら演奏方法をレクチャーしたいと思います。
「Don’t You Worry Bout A Thing」はもともと、スティービー・ワンダーが作詞作曲し名盤「Innervisions」に収録されていた楽曲です。
サルサのトゥンバオ(モントゥーノ)調のピアノがかっこいい名曲ですね。
スティービーの原曲も渋くて格好いいのですが、インコグニートのバージョンはラテンファンク調でこちらも違った格好よさがあります。
- ラテンピアノ特有の演奏方法とは
- どんなグルーブなのか
- ボイシングはどんな風に
これらのことを意識しながら、「Don’t You Worry Bout A Thing」の演奏方法をみていきましょう!
もくじ
「Don’t You Worry Bout A Thing」のイントロ
弾き方
《前半8小節》
両手のユニゾンで始まるピアノのフレーズは、サンバ調のトゥンバオです。
16分ウラを弾くときに陥りがちなのは、意識しすぎるあまりスタッカート気味に弾いてしまうことです。
跳ね過ぎると格好悪いので、16分の長さを意識して強調しすぎないように弾くとよいでしょう。
《後半8小節》
コード演奏のリズミカルなパターンです。
この部分のコツはグルービーに演奏しないこと、淡々と機械のように弾くことで生まれるグルーブを目指しましょう。
コードの解釈
1・2小節のEbm-Bb+・Ebm7ーAb7から解説します。
Bb+に7thは含まれていませんが、次のEbm7に対するドミナントの扱いです。次のEbm7とAb7でKey=DbにおけるⅡ-Ⅴです。
また構成音が同じなので、Ebm-Ebm△7/Bb・Ebm7ーEbm6/Abと捉えればマイナーのクリシェとも考えられます。
3・4小節はE/F#からB△7に向けてドミナントモーションしていて、E7は次のEbmに裏コードとしてドミナントモーションしています。
「Don’t You Worry Bout A Thing」のAメロ
弾き方
基本的にはイントロの後半8小節と同様に演奏します。
左手をゴーストノート(かすかに聞こえるくらいのリズムを強調するための音)として使用しています。音が大きくなりすぎないよう、右手の補佐になる程度のバランスで演奏しましょう。
コードの解釈
Bb+はBb7(b13)のボイシングで、下から7th・3rd・b13thの順に押さえています。Ebm7とB△7は右手からルートを省いたボイシングです。
E7のボイシングは2種類出てきます、下から7th・9th・3rd or #11thとなっています。
「Don’t You Worry Bout A Thing」のサビ
弾き方
サビの2・4小節はピアノだけが、8分音符のシンコペーションになっています。バンドは1拍目を演奏しているので、左手はそこに合わせています。
なので両方のタイミングを感じて演奏しましょう。
コードの解釈
2小節目のGb7(9)のボイシングはあまり一般的ではないですが、原曲に忠実に押さえるとこうなります。
E/F#で押さえても問題なくサウンドするので、大雑把に解釈したボイシングでも可能でしょう。
「Don’t You Worry Bout A Thing」のインターバル
弾き方
susとトライアド(3和音)の繰り返しです。押さえ方を覚え込まさないと弾きこなせないので、しっかり練習しましょう。
この部分はペダルを踏みましょう、できればコードが変わるごとに踏めればベストです。
コードの解釈
クロマチックアプローチ(半音進行)によるコード進行です。
Gb6(9)はルートを抜いて、下から9th・3rd・6thの順に押さえます。
「Don’t You Worry Bout A Thing」のインターバル2
弾き方
4小節目のリズムパターンが1・2・3小節と違うので注意しましょう。
コードの解釈
3・4小節目のE△7はbⅡ△7でサブドミナントマイナーコードとしての扱いです。この場所では9thであるファ#も押さえています。
まとめ
「Don’t You Worry Bout A Thing」は、リズム的にもコード的にも難易度の高い曲です。
その分、演奏しがいのある大曲でもあります。
- ラテンピアノ特有の跳ねないノリをつかむ
- 機械のように淡々と
- 独特のボイシングを攻略
この3つを念頭に入れて練習してみてください。
きっとうまく演奏できるはずです!