コードを使ったピアノ伴奏を練習する人に、ぜひ習得して欲しいのがオブリガートです。
ピアノ伴奏のクオリティを格段に上げてくれるテクニックの一つなんですよね。
今回はそんなオブリガートをテーマに記事が書けたらと思っています。
もくじ
オブリガートって何?
オブリガートとはもともとクラシック音楽の用語で、17世紀初頭から18世紀半ばまでのバロック音楽では演奏の上で不可欠な音楽の声部のことを、その後の古典派音楽以降では主旋律に対する対旋律のことを指した言葉です。
ポップスの世界ではどちらかというと古典派音楽と同じ意味合いで使用され、より主旋律を際立たせるためのテクニックとして用いられています。
きちんとフレーズが決められていたクラシック音楽のオブリガートと違い、ポップスではアドリブ(即興)で演奏されることが多く、演奏するフレーズやタイミングは演奏者に任されていることが多いんですよね。
良いオブリガートとは?
ポップスやロックの楽曲を聴いていると、楽器のフレーズが耳に残ることがありませんか?
「なぜ耳に残っているのか?」を考えることで、良いオブリガートとは何かを知ることができます。
この章では僕が考える「良いオブリガート」の二つの特徴について解説したいと思います。
楽曲のイメージを崩さないフレーズ
まず楽曲のサウンドに溶け込むことが大事です。
イメージから外れたフレーズを演奏してしまっては違う意味で目立ってしまいます。
しっとりとしたバラードにオブリガートを演奏する場合、テクニカルな速弾きフレーズや歯切れのよいパーカッシブなアプローチは合いませんよね。
またクラシカルな美しいサウンドの楽曲にブルージーなフレーズや、ジャジーなサウンドも似合いません。
そのため楽曲のサウンドやリズム、テンポ感に似合ったオブリガートのフレーズを選ぶ必要があるんです。
メインメロディを際立たせるタイミング
もう一つはオブリガートを演奏するタイミングです。
耳に残っているということはオブリガートのフレーズがメインメロディとぶつからずに、リスナーの耳まで届いたということなんです。
曲のメロディには必ず区切りがあり、フレーズとフレーズの間を狙って演奏することで浮き立って聴こえるんですよね。
またオブリガートは会話でいう「合いの手」と同じなので、適切なタイミングでのオブリガートはボーカリストのパフォーマンスをサポートし、より良いアンサンブルを作ることができます。
伴奏との違いを知る
オブリガートには、
- 楽曲のイメージを崩さないフレーズを演奏すること
- メインメロディを際立たせるタイミングを見つけること
が必要だとわかっていただけたと思います。
そしてオブリガートは伴奏の流れで演奏されますが、伴奏とは違うものだと知ることも必要です。
伴奏はメインメロディより目立ってはいけませんが、オブリガートは適度に目立たなければいけません。
演奏するボリュームやポジション、タッチをコントロールして、ボーカリストが最高のパフォーマンスができるようアシストするのが伴奏者の役目です。
オブリガートの種類
では実際の演奏ではどんなオブリガートが使われているのでしょうか?
大きく分けると次の3種類に分類できると思います。
- アルペジオを利用したオブリガート
- トップノートを変化させるオブリガート
- カウンターメロディを奏でるオブリガート
では下記のようなコード進行を使って一つずつ解説してみましょう。
アルペジオ
まず一つ目はアルペジオを利用したオブリガートです。
もっとも簡単に実践できるオブリガートで、押さえているコードを1音ずつバラバラに演奏する方法ですね。
下記の楽譜のようにポジションを動かすことなく演奏できるので、比較的演奏しやすいと思います。
参考楽譜では4小節のあいだにさまざまなフレーズを盛り込みましたが、音符の種類や演奏するタイミングなどは楽曲の雰囲気やメロディによってカスタマイズしてください。
トップノート
つぎはトップノートを変化させるオブリガートです。
押さえているコードのトップノート(一番高い音)を右や左に一つずらすというアプローチで、こちらも比較的演奏しやすいオブリガートなんですよね。
ずらす音は半音だったり全音だったりするので、練習で実際に音を出してみてピッタリとハマる音を探してみてください。
そしてトップノートを変化させるオブリガートのさらに応用編として、別のコードを利用するオブリガートというのもあります。
先ほど紹介した楽譜の変化させた音の部分をさらにもう一音変化させると下記のようになります。
結果として括弧で表記したような別のコードを演奏していることになります。
「C」コードには「F」や「G」、「G」コードには「C」や「F」のように、表記されたコードネーム以外にもサウンドを崩さずに演奏できるコードがあるんですよね。
この手法は「一時コード」とも呼ばれ、下記の記事でも紹介しています。
カウンターメロディ
最後はカウンターメロディを奏でるオブリガートです。
カウンターメロディこそが対旋律のことなので、一番オブリガートらしいオブリガートではないかと思います。
最初に紹介したアルペジオを利用したオブリガートではコードの構成音から構成音に音が移っていましたが、今回はさらにその間の音を利用してメロディアスにオブリガートを演奏します。
コードの構成音と構成音をつなぐために、演奏する楽曲の調のメジャースケールの音を経過音として選択します。
1小節目の「レ」、2小節目の「ド」、3小節目の「シ」と「レ」、4小節目の「シ」と「ラ」が経過音ですね。
さらに応用編としてオブリガートのフレーズに、3度下か6度下のハーモニーを付けるテクニックもあります。
オブリガートの参考曲
最後にオブリガートの練習に役立つ参考曲をご紹介します。
『月光』鬼束ちひろ
鬼束ちひろさんの2000年8月9日にリリースされたセカンドシングル。
全編ピアノの伴奏が効いたバラードで、随所にポップスで大活躍の定番オブリガートが散りばめられています。
まとめ
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